製造業におけるロボット導入のイメージと効果

協働ロボットはさまざまな工程に活用できると考えられています。
製造業においては、特に下記のような工程での導入が見込まれます。アイデア次第では活用範囲は更に広がります。

工 程 導入により見込まれる改善点
ピックアンドプレイス 部品の運搬を自動化する
工作機械へのワーク供給・搬出 工作機械からのワークの着脱を自動化する
荷物の搬送、積み付け・積み下ろし 重量物の運搬、荷崩れ防止
組み立て 精密部品を自動で組み立てる
研磨 バフ研磨、バリ取りを自動化する
ねじ止め ねじ止め、ねじ供給を自動化して締め忘れ防止
シーリング、溶接 塗布量・軌跡と溶接作業の品質安定化
品質検査 目視検査からカメラによる良否判定で誤判定防止
粉塵の除去 悪環境化での自動化(防じん仕様)と品質の安定化

ロボットの導入が遅れているといわれる三品産業(食品、化粧品、医療品産業)等への導入もすすんでいます。

参考資料:経済産業省「ロボット導入実証事業 事例紹介ハンドブック2018」

 

中小企業へのロボット導入イメージと期待される効果

ロボット導入は、中小企業にも大きなメリットがあります。「熱い、重い、きつい」といった身体的に負荷の大きな作業現場では、従業員の健康問題や人材確保が深刻な課題となっています。この場合、ロボットは「辞めない『仲間』」であり、「昼夜を問わず黙々と働いてくれる『仲間』」になります。他にも「品質管理においては、人よりも正確」「データが残るので生産管理しやすい」など、ロボット導入にはそれなりの費用がかかりますが、企業経営に様々なメリットももたらします。

想定業界 想定工程 期待される効果
食品

(人手不足が顕著な業界)

ピッキング
整列
検査
(ラベル印字等)
箱詰め
包装
・人手不足の緩和(パート労働の変動に対応可能)
・夜間を含めて工場の長時間稼働が可能
・作業環境の改善が可能(高温多湿等)
・残業代の削減→コスト削減
・ロボット導入に合わせた作業工程の見直しが可能
・ヒット商品対応時に工場の稼働時間が調整でき、機会損失の減少
・人材募集にかける手間、コスト、時間の削減
溶接/塗装 アーク溶接
スポット溶接
切断
プレス
塗装
・人手不足の緩和(作業環境の厳しい作業をロボットで代替できる)
・夜間含めた工場の長時間稼働が可能
・残業代の削減→コスト削減
・職人の腕の良し悪しに左右されない品質の安定化
・急な取引にもスピーディに対応可能
・季節的な変動に対応可能
・経営者が企画や営業に専念できる時間を確保できる
機械/化学 (検査工程)
ラベル印字確認
加工表面の傷チェック
動作確認
・省人化によるコスト削減と価格競争力強化
・長時間の同作業の繰り返しに伴う人的ミスの予防と品質安定
・画像による検査データの整備、クレーム対応の強化
・データの蓄積による製造工程改善へのフィードバック
(どういう傷、不具合が多いか等の分析が可能)

出典:近畿経済産業局「平成27年度 産業用ロボットの新分野展開における導入阻害要因調査事業」